人間関係のトラブル

【サラリーマンからの起業】金銭トラブルで「もう、会社を辞めよう」と思うこともあった。

2022/01/28 人間関係のトラブル

株式会社二建 二宮琢也 社長

【事業内容】

< プラント工事をメインとし建築、土木、、公共工事を請負う総合建設業

仕事を干されていたことが起業のきっかけに

──これまでの失敗で、今に活きている経験はなんでしょうか?

あまり良い家庭環境で育ってはいないので、何とか自分で早く働いて稼ぎたいなと思っていました。

──会社を自分で経営したいというのはそういうところから来ているんですか?

もともとそんなつもりは無かったです。

高校を卒業して何もやりたいこともなかったから、ただ就職して、適当に仕事して。大手の製造会社に就職したんですけど、2年で体を壊して体重も53キロまで減ってしまったんですよ。

──それは精神的なストレスとかで?

寝ないから(笑)

昼間の仕事より三交代勤務の方が給料が良かったので、途中から三交代の仕事に変えてもらったんですよ。若いから遊びたいから、寝なかったんです。お金もないし、なんか無茶苦茶な生活をしてました。

──体を壊されて仕事を辞めて……

体を壊したのと、その時はただライン作業だったので、やりがいも何もなかったので、長いものに巻かれろ的な環境も、この仕事は自分には合ってないなと。

それで、次の目標も目的もなく辞めました。

──辞めた後は何をされたんですか?

建設関係の仕事をしている幼馴染にばったり出会って「仕事辞めて遊んでんねんって感じで話してたら、遊んでたらあかんで!アルバイトで良いからうちおいでよ」と言われたのが、建設業界に入るきっかけやったんです。

もともと体育会系で体を動かすのは好きだったから、現場作業はしんどいけど楽しかったんです。

若くてもやればやるだけ、それなりに評価もされたし、給料もサラリーマンよりは手取りもあったから、なんかこの仕事面白いなと思って、がっつり建設業界に入りましたね。

自分を拾ってくれたこの会社をちゃんと大きくしたいなと思って、自分なりに一生懸命働きました。だけど、色々ありましてそこを退職することになって。

──「色々ありまして」の色々って何があったんですか?

簡単に言えば、必要ではなくなったんですかね(笑)?

そこの社長が同級生やったんで、信用もしてくれてたので結構前に出てやらしてくれていて、自分なりにも会社に貢献してたつもりやけど、会社にとっては出る杭みたいな感じだったんですかね。

我々の業界って浮き沈みあるので、立場的に忙しい時は最前線で働いて、暇になったら一番に休まされるみたいな感じがあって……

「仕事がないから、もうちょっと休んどいてくれる?」というのがずっと続いて。

その時は私にも若い子が2,3人ついてたので、知人の会社に声かけて仕事をもらったりとかしてました。

そうしたら、もともと一緒に働いてた会社の若い子から「何やってるんですか?全然来ないですけど」と電話があって、「え、どういうこと!?俺仕事ないって言われてるから、よそでやってるんやけど」と。

そこで初めておおーいっ!!てなりましたね。(笑)

──そんなことありますか?同級生なのに。

そうそう。約5年その会社におったけど、色々やらしてもらってたので。

目の上のタンコブじゃないけど、なんやろ?本当の真相はいまだにわからないままですね。

──嫉妬みたいなのもあったんですかね?

いや、なんでとか真相は話せずにもう辞めましたね。

全く鈍感やったやけど「自分の想いと違うやん、俺干されてんねや」と思って、すごい悔しかって。絶対に負けん会社作ったるって思って自分で会社を立ち上げたんです。

やる気なんか、自分でやるつもりなんか全く……その会社を大きくするつもりで頑張ってたのに、気がついたらそんな感じになってて。必死にがむしゃらにやって、気づいたらもう23年です。

取引先とのお金のトラブルに巻き込まれ「もう会社、辞めよう」と思った

──その間にも失敗は色々ありましたか?

ありすぎるくらいありますよね。

経営の「け」の字すら何も知らない、ただの職人しかしたことない人間がいきなり経営やったので領収書の書き方も分からなかったからね、「領収書って何?」って感じ(笑)

何もわからん状態で始めて、1,2年経ったくらいに取引先のトラブルに巻き込まれました。

──お金関係ですか?

お金関係。取引先から一銭のお金も集金できなかったんです。

──え、どういうことですか?

その時、私が取引してた所長が横領してて(笑)

それに関わってた我々、工事業者も怪しいってことになって全部止められたんです。だけど、僕らは何の後ろめたさもなかったので、そこは色々話をして時間をかけて集金はできたんだけど……

その時初めて「俺もう会社やめよ、金ないし、従業員に給料も払われへんし」って。

その時にある人に、「サラリーマンじゃないんやろ?これから親方として社長としてやっていくって決めた人間が、たかが1,000万円をどうにもできへんようじゃ、今すぐ辞めたら?」と言われたのに、つい火がつきました(笑)

なので、頭を下げるとこには下げて、待ってもらうとこには待ってもらったり、話しに行ってなんとかなりました。それで信用を失ったりもしました。

──それは25、6歳とかの時ですよね?

そうそう。もう本当に大変だった。僕らの業界なんとなく分かります?

──なんとなく、本当になんとなくですけど。

1日40人から50人くらいの若い子を采配してたんですよ。言うこと聞かへんような子らを集めて。親・社会に迷惑かけた人間ばっかりしかおらへんからね(笑)

──どうやって会社として経営していく中で色んな人たちをまとめていたんですか?

ただ真面目にやってたら誰かが見てくれてるし、誰かが応援してくれると思ってたから、真面目にやりおってん。仕事だけは真面目にやったら、必ず評価されて信用もお金もついてくると思ってたから。

ただ必死で真面目にやったら若い人もついてきてくれたし、お客さんもついてきてくれたし、銀行の融資も受けられるようにもなったし。

だから、ほんまに必死でがむしゃらというか、必死にやってきたら、あれ気づいたら「10年経ってたな、15年経ったな」と時間が経つのが早かったです。

──失敗や苦労をしてきて、今一番大事にしていることは何ですか?

仲間と家族の笑顔だけやな。

──仲間というのは会社の従業員とか?

まあ社員が家族やから。うちの会社は20年以上、僕と一緒に働いてる人間が何人もいてるねん。

だから、僕がみんなのお父さんで関係性が社長と社員というより親子みたいな感じです。

──今だとすぐ辞める人とか多いと思うんですけど、なんで辞めないんですか?

金儲けが目的で仕事をしてないからかもしれん。ちゃんとやっていたらお金はついてくるから、真面目にしっかり人として。

何か一つ作り上げたときにお客さんに喜んでもらって「ありがとう」と言ってもらって、人の温かさを感じるわけ。

だから自然とちゃんとした仕事さえしていればリピートしてもらえる。変な仕事してたらそこで終わってしまうけど、ちゃんとやってたらしっかりまた声はかかる。

うちは外から見たら軍隊みたいって言われるけど、まずは人間力を鍛えろと言っています。挨拶一つにしてもやし、感謝、謙虚さ、そういうことを大事に。

でも、今の世の中大きな声で挨拶したら変人扱いされるやろ?人のことあまり構ったら構ったで、ありがた迷惑やどうやこうやってなるし。

──たしかに、そうですね。

うちでいつも言うのは「うちは変人の集まりでええんや」と。

昔当たり前だったことをやったら変と思われるかもしれない。隣のおばちゃんに大きな声で「おはようございます!」って言ったら、何この子って絶対なる。

全部が全部じゃないけど、昔のようなことをしっかりやってれば人間関係ってちゃんと築けるると思うんやけど、当たり前のことを当たり前にやると変人扱いされるし。

なかなか難しいんやけど、うちは結構そういうことを大事に言い続けてます。

──きっと信頼関係があるから、辞めずにずっと働いてくれる人が多いんでしょうね。

辞めへんのは、面白いのもあると思う。

僕自身も社員と絡む時間結構持つから、食事に行ったり、家族参加型のイベント年に何回かしたり。

普段、仕事でみんなめっちゃ頑張ってるから、その代わりに家族で参加できる企画を立ててあげて、親父のカッコええ姿や、嫁さんと子供が喜ぶような企画をしてあげたらお父ちゃん助かるやん。

自分のためではなく、社員・家族の幸せのために頑張ろうと思うように

ー今まで人間関係で苦労されたことないですか?

いっぱいあるよ、そんなん。時間をかけて可愛がった人間に辞められたりとかあるし、信頼してたビジネスパートナーや元請けさん、取引先に裏切られたこともあるし。

──そういうときってどうやって立ち直るんですか?

お酒飲んで(笑)

──お酒で立ち直れますか?(笑)

男も女も結局信頼して好きになってもたら、女性にフラれるくらいショックやもん。結構つらいで。男女の恋愛で別れる辛さは何回もあるけど、信用してた人間と仲が崩れるってことも、ほんまに辛い。

──そういうとき、誰かを信頼するのを嫌になったりしないですか?

それは人間不信にもなるし。経営者って結局一人やから。仲間はいっぱいおるし、友達もいっぱいおるけど、いざという時一人やもん。不安にもなるし、なんか悲しい時もあるで。

──そういう面って見えないじゃないですか?従業員からしたら。

だから経営者同士、仲良くなるんよ。絶対、サラリーマンとか雇われてる人間にはオーナーのしんどさはわからへんから。

例えば、自分なりに思いを持って社員に接していたけど、社員には伝わっていなかったりとか、信頼してた人間に辞められた時とか。孤独やで、俺ら経営者って。

──その言葉はよく聞きます。

孤独や、思うわ。ただ仲間にもいっぱい支えられて楽しそうに見えるけど、やっぱり孤独やで。

──それでもなんで続けられるんですか?

頼ってきてくれる人間がおるからやろな。社員もそうやし取引先もそうやし、必要としてくれたり、頼ってくれたら人はやる気になる。誰かのためにと思ったら辞められへんやん。

かっこいい言い方になるけど、だから自分のためにどうこうというよりも、社員や家族のために仕事しようと思ってます。

──若い時は誰かのためによりも自分のために働くじゃないですか?いつから相手のためにと思えるようになったんですか?

いつやろ。自分一人だけのことやったら、もうそれで良かったけど、社員みんなにええ夢みさせてあげるんやったら、もっと頑張らなあかんし、もっとやるべきことあるやんと思って奮起したのが30歳後半くらいですね。

正直、昔は「従業員でも嫌なら辞めたらええねん、また新しいの雇ったらええねん」という考えの時期もあったと思うねん、自分の中に。

でもこうやって10年、20年もこんな俺についてきてくれる人間がいると思った時に「返さないと」思ったね。

そこから10年くらいは色々な経営者とも絡んだし、経営塾も行ったし、勉強会、セミナーとか色々なこと学ばせてもらって。

やっぱり、自分が成長しない限り従業員の成長ってないと思うから。だから今もまだ自分は成功したなんて思ってないです。

──そうなんですか?

まだまだ。やらなあかんこともあるし、自分が成長しなかったら社員も成長できへんと思うから、学ぶ姿勢はまだまだ持っとるで。

──そのお話聞いたら私はもっとまだまだと思いますね。インタビューありがとうございました!

株式会社二建のHPはこちら!

 

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