仕事のやらかし

営業時代、売れてる売人を真似してもなぜか売れなかったのか

2021/10/21 仕事のやらかし起業失敗談

【設立】2013年3月

【事業内容】

業務エアコン(販売・工事・修理・分解洗浄・保守メンテナンス)、エアコンの取付け

電気工事、電力の見える化

屋根、外壁の塗装

AI・IOT、水道設備、設備全般

プレゼンでの失敗:なんか笑われてると思ったら言葉を間違えてた

──業務エアコンの修理・販売等をしている会社を経営していらっしゃるんですよね。その中で、あの経験・失敗があってよかったと思うことはありますか?

うーん。人脈が広がったというのはあったかな。

当時、会社の新しい事業として建設業専門のコワーキングスペースをつくりたいと思ってたんですよ。

建築現場では、新しくビルを建てる時は近くに現場事務所を借りるんです。そういう現場に来てる人は地方から来てるからホテル暮らしなんです。ホテルだと仕事はしにくいし、現場事務所を借りるのもお金がかかるし。

それで建設業専門のコワーキングスペースを作って、地方から来た人が東京のコワーキングスペースの人たちと交流して「こういう仕事をやってほしいと言われてんねんけど、やってくれない?」みたいなのができたらおもしろいなと。

でも、そのコワーキングスペースを作るには5000万くらいかかると。

──5000万もかかるんですか!?

うん。どうしようと思ってた時に、ピッチイベントという投資家の人たちがプレゼンテーションを見に来て、面白い話があったら投資するというイベントがあると知って。

そのプレゼンテーションで使うパワーポイントに、なぜその事業をやりたいのかを大きく文字で書いてたんですよ。

普通って「コワーキングスペース」って言うじゃないですか。

──そうですね。「コワーキングスペース」って言います。

それを僕は文字でちゃんと覚えてなくて、「コワワーキングスペース」と書いてたんです。

──なんか響きがかわいいです(笑)

僕は必死で説明してたんだけど、なぜか失笑みたいな(笑)そのあとも「コワワーキングスペース」っていう言葉が出るたびにみんなが軽く笑ってるわけ。

30分間くらいのプレゼンだったんですけど、3人登壇した中で一番ウケて。「君いいね!」と言ってくれる人がいて。

「コワワーキングスペース」って言ってたのがおもしろくてよかったのか、そのプレゼンの内容がおもしろかったのかはわからないですけど、たくさんの人が声をかけに来てくれて、色んな人を紹介してもらって人脈が広がったっていう。

その間違いを知ったのは3か月くらいあとだったんですけど(笑)

──なんでその間違いに気づいたんですか?

はっきり言われたんですよ。「コワワーキングスペースやりたいんやけどなあ」って言ったら「伊藤君、コワーキングスペースちゃう?一個文字多いで」って(笑)

というのは失敗談ですね。

──そのプレゼンの時には誰も教えてくれなかったんですか(笑)でもそれがきっかけでいろんな方に覚えてもらえたんですね。

新卒や、社員になりたての方ってそういう失敗を恥ずかしがるけど、そういう失敗が逆に相手に印象付けて覚えてもらえたりとか、お客さんのところに行っても、普通に失敗もなく可もなく不可もなくプレゼンをするより、どこか尖ってる方が成果出やすい。

──やっぱり新人の時は「うまくやろう」とか「失敗しないように」と思ってしまいます。

うん。ほとんどの営業の中でのうまくいってない理由は「覚えてもらってない」こと。

色んな会社の営業がくるわけですよ。営業マンからすると、お客さんに自分のことを覚えてもらえてると思うけど、お客さんは覚えてないよ。

──え、覚えてもらえてないんですか!?

でも、そのときに怒らせるくらいの失敗はダメだけど、ちょっと失笑させるくらいやったら「あの人はこの会社だったな」となるんじゃないですかね。

営業職時代の失敗:売れてる人を真似しても売れなかった

──伊藤社長がサラリーマン時代に営業をしていた時はどんな感じだったんですか?

営業をやってたのが、リモコンで開け閉めが出来るカギを訪問販売する会社で。マンションのなかに入ってピンポンして売ってました。

その時が一番鍛えられたかな。

1ヶ月目は同期の中で一番売れなくて、一本も売れなかったね。

そのカギもリース組んでもらうから19万くらいなんだよね。それをワンルームマンションの一人暮らしの人に買ってもらう。

──なかなかハードル高いですよね。どうやって売れるようになったんですか?

まずは売れてる人についていって、その人のトークをまるごとコピーしてお客さんの前でしゃべれるようになって。でもそれと同じようになっても売れへんのよね。

それである時気がついたのが「間がないな」と。お客さんと喋ってて無言になったりすると緊張するじゃないですか。

──はい。間がないというのは?

シーンとする時間がとても大事で、お客さんは考えてるからその時にしゃべられても入ってこなくなるんだよね。

まあ、セキュリティのカギってみなさん何を心配して買うと思いますか?

──防犯、泥棒ですか?

そう。でも、みんなよく言うのが「泥棒に入られてもなにも取られるものない」って。でも今の泥棒何も盗らずに出ていくんですって言うと、みんな考えるじゃないですか。

──たしかに。私も今、何も盗らないってどういうこと?って思ってます。

その考えているときに邪魔すると、お客さんは次の言葉が入ってこないよね。

その時にやってたのは、お客さんが考えてるのを少し待ってから「今の泥棒は一人暮らしのお部屋に忍び込んで小さいカメラだけ仕込んで帰るんです。それをWEBで配信してお金儲けをしているんです」と。

「防犯セキュリティとしてこのカギをつけれるようになったので、身の回りの防犯のためにやられておきますよね?」と話すと、お客さんの方から「お願いします」と言われる。

──「買ってください!」という営業の仕方ではなかったんですね。じゃあ、売れるようになる前の話し方はどんな感じだったんですか?

それまでは「やった方が良いですよ、危ないから」とか、自信なく「やっておいた方が良いと思うんですけど……」みたいな。相手に必要性を訴えて納得してもらえてたらこちらも自信をもって売れるよね。

──私は逆に間が長すぎるって言われます。次なにを話したらいいのかって考えてると無言の時間が出来すぎてしまって。

何を話そうかって思ってるところから、相手に興味・関心をもって話すようにしたらお客さんに質問がしたくて仕方なくなってくる。

彼氏とか好きな人だったら興味あって色々聞くやん。「今日、何食べたの?」とか。なんでかって言ったらおもてなしする時のために色々考えてるわけやん。

というのと一緒で、お客さんにも質問することを考えるんじゃなくて、このお客さんはどんなことをやりたくて、どんな悩みがあるのかっていうのに興味・関心があったらどんどん質問が出るんですよね。

──たしかにそうですよね。でも、初対面の人にいきなり興味を持つって難しいです。

ほんとになりたいと思ってたら、同期で頑張ってる人とか先輩と交流するとかかな。誰と付き合うかで変わるからね。

僕も中学生の頃はやんちゃしてる友達ばっかりでしたけど、今はその友達とお付き合いないです。その人たちと付き合っても仕事に対してプラスに運ばないし、生活の仕方も違う。やっぱりお付き合う人で自分の人生は変わってくんじゃないですかね。

──社長になってからは付き合う人はだいぶ変わりましたか?

そうだね。遊びもそうだし飲みに行くのも社長同士がほとんどだね。

人間関係での失敗:信頼関係がなかったら壊れてしまう

──社会人になって年上の方とか色々な方と話すことが増えて、人間関係って難しいなとよく感じます。

社会に出ての当たり前と学生の当たり前が違うからね。

でも、社会の当たり前になれると良いことしかないよ。60、70代になっても学生の当たり前で生きてる人はいっぱいおるから。

社会の当たり前が何かというと目の前に「成果」というものがあることだね。成果を出すためにはどうしたらいいのかを考えられるようになって、成果を出せる自分になると家庭を持った時にもうまくいくんですよ。

──そうなんですか。私の偏見ですが、社長さんで家庭がうまくいってる方はあまりいなさそうだなと……

そういう人もいるよね。人間関係が深くなることを会社で学んで、その学んだことを家庭で応用していくというか。夫婦関係もひとつの人生の目標に向かって一緒に作っていくじゃないですか。会社でも一緒で、会社でうまくいく人は家庭でもうまくいくし。

──伊藤社長は今までで人間関係で失敗したことはありますか?

ありますよ。飲食店で働いていた時とかはめちゃくちゃ厳しかったんで、僕。アルバイトさんから「もうやってられません」ってストライキみたいな(笑)

──そんなに圧が強かったんですか?

そう。お客さんが早く料理を提供してほしいときに、「遅すぎる、もっと早く作って」って押し付けたり、強要する感じ。それで人間関係をぶっ壊したことは何回もあるね。

──そういうリーダーシップも必要ですよね?

そうだね。でもそこに信頼がなかったら頭ごなしに言われても、言うこと聞きたくないってなっちゃうから。

──その経験が会社経営で役立ってることはありますか?

信頼関係を大事にすることを重視するようにはなりました。

──どういう風に信頼関係をつくってくんですか?

それは約束じゃない?

自分との約束と相手との約束があって。相手とする約束は提出期限や達成目標を守ることで信頼関係は深まるし、自分の中で決めた約束を守ることで自分への信頼とか自信も高まるじゃないですか。そうやって約束を守ることで信頼関係はできていくと思います。

──普段の小さい約束って大事なんですね。

「社長」は常に仕事に全力投球みたいなイメージがあるんですけど、働いてて仕事しんどいなって思うことはありますか?

それは毎日じゃない?(笑)それの狭間でずっと生きてるんじゃない?人間って。

そんなのないですか?

──ありますよ!休みの多い週とかは来週からちゃんと会社に戻れるかなと思いますね(笑)

みんなどうやってモチベーションを保ってるんですかね?

モチベーション高い人は人生どうやって生きていくかが決まってる人が多い。目の前のことしか決まってなかったら揺れ動くよね。やっぱりITちゃうわ、飲食やってみようかなとか。人生の最終の着地が決まってる人ってぶれないよね。

──目標が決まってる人ってそんなにたくさんいますか?

目標が決まってる人と過ごしてたらそうなるし、やっぱり付き合う人によって変わると思います。

──誰と付き合うかを考えるようになったきっかけはなんですか?

会社がなかなか成長せえへんとか、うまくいかへんとか、なんか伸び悩んだ時に自分の使ってる時間をリセットして整理するかな、いろいろ。

今で言うと、売り上げ100億円以上の規模の社長と飲みに行く時間を大事にしてます。今は付き合うのが売り上げ3億~10億円規模の社長が友達で多いからついつい楽しくて一緒に居てしまうんやけど、そこにいたらあまり成長は少ないよね。

売り上げ規模がすべてではないけど、規模が大きいほど経験してるものが違うからそういう人たちと触れることは大事にしてます。

──関わる人で変わっていくんですね。プレゼンの失敗談や営業での失敗談でも人間関係を築くことの大切さという部分が共通していました。

インタビューありがとうございました!

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