人間関係のトラブル

新事業の営業成績が3年間ゼロで赤字!それなりの人に任せておけば大丈夫だと思っていたが……

2021/12/13 人間関係のトラブル

株式会社ビリーブ 杉本健太 社長

【事業内容】

総合不動産業

売買・賃貸の仲介、買取再生事業、各種不動産に関するコンサルティング

総合建設業

各分野のスペシャリストを多数擁し、公共工事や住宅建築をはじめ、修繕やリフォーム、不動産価値を創造するリノベーションなど幅広い建設業務

 

新しい事業の営業成績が3年間ゼロだった

──経営をされている中での失敗について教えください。

約三年半前に不動産事業を立ち上げたんですよ。大手の会社から、10人くらい営業成績のいい営業さんを引き抜きしました。

大手でそれなりに年収をもらって営業成績を収めてきた人たちを集めたら、勝手にそれなりにやってくれるかなと思ったんですけど、無理だったんです。

──どういうことですか?

会社に仕組みがなかったからかもしれないんですけど、ずっと営業成績ゼロが続いて……

──引き抜きをしたうちの1人も成果が出なかったんですか?

1人もです。ちょろちょろ成果は出し始めたんですけど、3年間ずっと赤字。キャッシュでいうと約2億円を失いました。

──営業が出来る人たちを集めてきたのに、なぜ営業成績が振るわなかったんでしょう?

大手の看板で働くのと、中小で何の仕組みもないところで働くのとは違うというのが、僕が甘かったところですね。途中で軌道修正しようとしたんですけど、追いつかなくて。

気づけば2億円を失っていました……(笑)

──その2億円は人件費とかですか?

1番大きいのが人件費と、なんとか売り上げを出すための広告宣伝費。まあこれも的外れだったんでしょうね。

それで、半分以上の方に辞めてもらいました。営業の事業責任者だった方にも半年以上もめた挙句、辞めてもらいました。

──責任者ということは、それなりに信頼もしていた方だと思うんですけど、なんで辞めてもらったんですか?

そうです。でも、事業責任者の人が元凶だったんですよ。その人が一番数字を上げられなくて。

要するに、前職の時よりも立場が上がったこともありその立場に溺れちゃったんでしょうね。僕も一番信頼して任せたんですけど、42年間生きてきて、一番追い詰めた人ですね(笑)

──色々話し合いも重ねた中で意見が合わなかったということ?

合わないというか嘘をいうってことが分かってきて……

他の営業の人たちもその人がマズいのはわかっていたけど言えなかったんですよ。その人が嫌で辞めた人も何人かいました。

──その人が辞めていろんな意見が出せるようになったら、営業成績も上がってきたんですか?

というよりも、その人が推奨していたやり方じゃダメだったので営業のやり方を変えたからですね。もともと不動産売買の仲介をやっていたんですけど、そっちが全然ダメだったので今は自分たちで物件を買ってリフォーム・リノベーションして再販売しています。それをメインにしてからガラッと変わりました。

今は2億を取り戻している最中です(笑)

──責任者にするということは採用の時に、その人を「良いな」と思ったからだと思うんですけど。

そうですね、採用には半年以上かけました。合意するまでに何回も何回も会って。

──そこで見抜くのはなかなか難しいんですね。

見抜けなかったんでしょうね、僕は。

──正直、面接だけでは見抜けなくないですか?

ほんまそうですよ。

──その失敗から、人の見方とか変わったんですか?

変わりましたね。今までは「それなりの人間にやらせておけばできるだろう」と人任せにしていたので、反省して改めてます。

──例えばどんな部分ですか?

全然ほったらかしにしてたのを、1人ひとりとちゃんと向き合って関わるようになりました。

1から10まで手取り足取り教える必要はないと思うんだけど、ほったらかされていると思うと自分の居場所がないように感じるんですよね。それが一番きついんちゃうかな、特に新卒の子とかは。それを感じた時には、大体の人が退職という方法を選ぶので。

特に中小、零細企業だとみんな自分のことで手一杯なので、教育の仕組みもなかったりとか入社したてで放置プレイみたいな会社は多いと思いますね。

──杉本社長はどんな関わり方をしているんですか?面談とか?

そんなかしこまった面談とかはしないんですけど、ご飯を食べに行ったりとか……

コミュニケーションをとるだけでなくて、みんな十人十色なので一人ひとりをきちんと見てあげることですね。

──辞めていく人には何か予兆とかあるんですか?おかしいなとか。

分かる人と分からない人がいますね。いきなり「社長、ちょっといいですか」って。「ちょっといいですか」はヤバいですね、怖いです(笑)

うちもかなり辞めましたね。

──営業で引き抜いた人も結構辞めたんですか?

辞めてますね。7人か8人辞めたんじゃないかな。

──新しい人が一気に入ると会社の雰囲気とか変わりますもんね。

そうですね。それで、もともといた人も何人か辞めましたね。

全部で12,3人辞めたと思う。

──新しく入ってきた人たちと、もともといた人たちというのは最初からうまくやっていくのは難しそうな気がします。

めっちゃ難しいですよ、時間もかかります。もともといた人も離された感じがするじゃないですか。新しく来た人もその人たちに受け入れられなかったら「なんやねん」って思うし。

そんな時期が1年以上続きました。

──社長から見てわかるものなんですか?「新しい人と前からいる人が上手くいってないな」というのは。

見てて分かります。うちは年齢層が高いんですよ。人間って年を重ねるほど変化を嫌うので、その変化に完全に拒絶してましたね。

──1年たったらなんとか上手く馴染むようになったんですか?

時間が解決したところもありますし、営業がそこそこ数字が上がってきたので力が同じくらいになってきたのも要因ですね。

──お金のことだったり、従業員さんとのコミュニケーションだったりと、当時は落ち込むことはなかったんですか?

なんかあまり記憶がないですね、当時の(笑)

動き続けて走り続けないといけなかったので、落ち込むという選択肢がなかったです。僕は基本ポジティブシンキングなので、まあなんとかなるでしょと。

必ずどうにかなる、ちょっと今しんどいだけやと思ってます。

──そういう風に考えないとやってられないですよね。

なんかそういう部分の部品が2つか3つ無いんやと思います(笑)

──人間関係の構築の仕方でこうしとけば良かったというのはありますか?

一人ひとりをちゃんと見て向き合っていたら良かったなと思います。

100人も200人もいる会社じゃないので、ちゃんと見てくれるというのは必要かなと思います。人間は承認欲求があるので、全く見られていなかったり認められていなかったりすると、働いてても辛いですし。

──厳しく指導しすぎると辞める人も出てくるだろうし、全く放置だとそれはそれでダメじゃないですか?

まあ厳しくというより正しくですよね。やっぱり上司というのは嫌われる存在だと思います。

そりゃ僕だって人間なので社員からよく見られたいですけど、やっぱり伝えるべきことはしっかり伝えないと。

自分のことをよく見られたい部分が勝ってしまってる経営者や上司だと正しいフィードバックができないじゃないですか?

──それって深く突っ込めないということ?

場合によっては言いにくい嫌なことも言わないといけない時に、嫌われるのが嫌だという思いが勝っているとその辺りがきっちりできないですね。

──杉本社長もそういう部分はあったんですか?

もちろんありました。僕、時間拘束するってことは命預かってるという認識でいるんですよ。

今の日本の働き方だと、どうしても時間を拘束しているわけなので、人生の大半は職場におるわけで。

だからそこの覚悟が曖昧で、良く思われたいとか嫌われたくないという思いが勝ってしまうと、僕はただの無責任になってしまうので……

だからそこはきちんと責任をもたないといけないですね。

特に社会人1一年生は指導されて当たり前なので、自分が成長していくためだ認識を持たせること自体も指導していかないといけないと思います。

──新しい人を採用していく度にそういうことを思うようになったんですか?

はい、何人も辞めていく中でそう思ってきましたね。やっぱり成長させなければアカンという責任はしっかり持たないと。まあそうやって言ってるけどずっとできてる訳じゃないですけどね。

なかなか上手くいかないです。

サラリーマンから社長に!上司と立場が逆転することに苦労した。人間関係構築のコツとは

──今は会社は何期目ですか?

今は24期目です。

──じゃあ結構若いころに起業されたんですね。

僕、この会社の創業メンバーではあるんですけど、普通に20歳でここに就職したんです。

27歳で社長になりました。

──最初は社員として働いていて、途中で経営者になったんですね。

だから今でも、もともと僕の上司だった人とかが数人働いてくれてます。

──そのパターンは初めてお伺いしました。

僕も苦労しましたよ。だって立場が逆になるわけですから。

──誰が人事決めたんですか?普通は上司の方が社長になったりするじゃないですか。

誰もがみんな社長になりたいわけじゃないので。僕はまだ若くて、あまり深く考えずになったんですけど(笑)3人の会社だったので、当然借り入れもしないとダメですしどっちかというとリスクが大きかったかな。

急にサラリーマンが社長になって、しかも僕以外の2人は年上だったので、なかなか難しかったですね。

実務ができるのと経営者になれるのって全然話が違って、名プレイヤーが名監督になれるわけじゃないじゃないですか。

──たしかに。じゃあそこの切り替えは難しかったですか?

そこは必死に勉強しましたけどね。あとは二人ともぶつかったりとか……

「ついていく」と言ってもらうのに一年半くらいかかりました。

──結果的についていきたいと思ってくれたのは、何でだったんですか?

1年半くらいかけて話し合いをやっている中で「一回もブレへんかった」というのは言われました。

納得してくれないから、あの手この手と言い方を変えたりとか方法があったかもわからんけど、僕は基本ブレなかったです。

──たしかに、この人いつも言ってること違うってなったら、何なんだろうと思いますよね。人間関係ではその人のことをしっかり見ること、話すことが大事なんですね。

インタビューありがとうございました!

 

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