人間関係のトラブル

何のために仕事をするのか?社員と同じ思いを共有できていなかった。

2022/02/28 人間関係のトラブル

こうのとり不動産・こうのとりリフォーム 畠中 真史 社長

【事業内容】

こうのとり不動産:不動産事業全般

こうのとりリフォーム:リフォーム全般

前向きに働ける会社を作るはずが、お金を稼ぐことを一番に考えてしまっていた

──畠中社長の失敗談を教えてください!

起業したときは、お金を稼いで、それを社員のみんなに分配することでみんなが幸せになるんじゃないかなと思っていたんです。6年間経営をやってきて、売上は最初と比べて10倍くらいになっているんですけど、その稼いだお金をどうするのか?ということなんです。

最初は一人で経営を初めて、明日の給料、来月の給料が稼げるか分からないじゃないですか。なので、とにかく稼がないといけないという思いが強かったので、寝る間もなく働いてました。

それに賛同してくれる人がちょっとずつ増えていったんですけど、休みもあまり無いしお金を稼いでどうするのかというところまであまり考えてませんでした。

──ダメなんですか?お金を稼ぐのでは。

お金を稼いで何に使うのかということに対して、僕がちゃんと明確になってなかったので、従業員の方もわからないじゃないですか。

休みを削って残業してお金稼いで、その先に何があるんですか?と。

──お金を稼いでも使う時間が無いってことですね。誰もが幸せになる訳ではない。

そうですね。僕は稼いで、なんとか会社を潰さないようにやっているだけで。本当に社員さんと同じ思いを共有できているのかということです。

ようは自分の思いは伝わってると思っていたんですね。みんなもこうだろ?こうじゃないとだめだろ?みたいな固定観念というか。

でも、ふと思ったときに稼いで何するんやろうと。

やっぱりその中でしんどくなっちゃったりとかする人も出てきたりだとか。

うちに入ってきた若い新しい子も、続かないんですよね。教えるとかいう仕組みもないし、見て覚えなさいというシステムなので、ちゃんと寄り添って教えてあげることができないというところで、もやもやしますよね。

──それは社員さんから直接言われたんですか?

言われたわけではないんですけど、辞めるということはそういうことだと思います。

お金も大事なんだけど、今はやっぱりみんなと一緒に成長していきたいなという思いがあります。

そもそも、起業したときはみんなが前向きに働けるような会社を作ろうと思って始めて、それぞれが自分の立場で成長して、個人的にも会社としても成長できたらという思いがありました。

決してお金だけを追及して、言われたことだけやっていればいいよという気持ちで始めたわけではないのに、結果的にそうなってしまっていました。

──社員の方が辞めていくのを見て、違うのかなと思い始めたんですか?

そうですね。自分と同じじゃないことに気づきましたね。

しっかり理念を作って浸透させていくことに

──経営者と従業員では考え方や見方も違いますよね。

そう。経営者は強い思いはあるんだけど、それをちゃんと伝えられていなくて、分かってくれているだろうという思いだけですよね。

今も伝えることは難しいと感じますけど、それをちゃんと伝えて腑に落ちてもらわないと、何を大切にしてやっていくのか伝わらないですよね。伝わらないと仕事のやりがいも無くなっていく。ただ「やれよ」「ノルマこれだけ達成しようぜ」だと、何のためにやっているのか……

ノルマや売上を上げるのだったら一人でやればいいんです。でも企業は一人じゃないので「人」をちゃんと考えないといけないというのが気づきになりました。

──伝えることは難しいと仰っていましたが、いまはどのような工夫を?

今、一生懸命やってるんですよ。きちっとした理念に基づいて会社を経営していかないといけないなと。想いを伝えるというのは何かベースとなるものがあって、これを大切にして、このためにやっていきますよというのが必要で。

その本質的な所をしっかり伝えないといけないなと思って、今理念を作り直してる最中なんです。それを共有していくのはこれからかなと思っています。

入社してくれた若い方たちが理念に共感して、それをもとに成長していく。僕がやるだけやって終わりで良いとは思っていなくて、会社を永続していきたいと思っているので理念を作るだけではなくてそれを浸透させていく。そうすると、こっちも言うことがブレないですよね。

──理念のある企業がほとんどだと思いますが、浸透していないところも多い?

会社の理念はどこにでもあるけど、それをその通りにみんなが思って動いている会社と、そうでない会社ではかなり違います。

──社員の方のやる気も変わるんですかね?

全然違うし、言動も変わるし行動も変わると思う。

だって、それが判断基準になりますからね。

理念に基づいて、みんな判断して行動していくので、理念と全然違うことをやっていたら、何の意味もないですよね。

でも、意外と会社の代表でも理念を言えない会社なんていっぱいあると思いますよ。

──とりあえず作ったけど……みたいな?

そうそう。ホームページに書いてあるけど社長自身も言えないとかはあると思うんです。特に小さい会社でそういうところはあると思うんですけど、小さい会社だからこそ理念をしっかり伝えるのが重要だと思います。でも、中々そこが重要だとあんまり思えないんですよね。目に見えないものですから。

──たしかに。売り上げの数字は目で見て分かりますもんね。

はい。でも目に見えない部分が一番大事だと思います。売上を上げようと思ったら簡単ですよね。でも、理念をちゃんと浸透させようと思ったらすごく難しい。他の会社もなかなかできてない部分だと思うので、そこを一生懸命やろうかなと思っています。

──売上のために働いているとなると、だんだんと何のために仕事してるんだろうと思いますよね。

そうそう。そりゃ、給料をもらって生活していくというのは最低限のことじゃないですか。そこにやっている意味とか、そういうものがないと仲間のために頑張ろうだったり、我慢や耐えることもできなくなると思うんです。

──働いていて、仕事が辛いなと思っている人はそういう部分が共有されていないんでしょうね。

そうそう。だから上司とか幹部が何のためにやっているのかを伝える必要があると思います。そこに何か前向きなことが無いと、仕事に喜びを感じたり幸せを感じたりが分からないですよね。決して給料だけじゃないと思います。

──その経験から、今は理念を作り直して共有しようとされているんですね。

そうですね。結構、何のためにしているのかというのは悩みますよ。

僕1人だけだったら良いんですけど、社員の方がいて、それぞれに家族がいて。気持ちの部分だけではなくて売上も上げないといけないじゃないですか。そういうところでは悩むけど、信じるしかないです

要するに今はブレてるわけですよね。なので、社員にも「正直、ちょっと僕ブレてます。自分をちゃんと見つめ直して、理念をちゃんとするために、研修に行かせてください」と言っています。

──え、そこまで言うんですか!?

一緒に働いている人だし、共有していったら良いじゃないですか、カッコつける必要はないし。

──そういうのも含めて社員の方とコミュニケーションを取るのって大事なんですね。

そうだと思いますね。社長だから何をやっても良いとか関係ないんでね。

会社は自分の物ではなくて、皆さんあっての会社かなと思うので。

──理念を共有するのは信頼関係にも繋がっていくんですね。

そうそう。それに基づいて動きますから、理念からズレる人は辞めていくと思います。でも、それでいいんですよ。

仕事ができるから採ろうとか、技術的な部分が素晴らしいからと採用していったら、理念の意味がないですよね。

──会社の同じ目的を共有できる人を採用するのが一番大事なんですか?

そうだと思います。理念を共有してもらわないとダメかなと。理念はすぐに伝わるものでは無いですし、ずっと言い続けてやっと1年2年3年と経って気づいていくものかなと思います。

──会社の人間関係や仕事へのやりがいなと理念が基盤になっているんですね。日々の業務に追われていくうちにノルマや義務で仕事をしてしまっている人は多いのではと感じます。

インタビューありがとうございました!

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