起業失敗談

起業して2000万円の借金。起業で失敗する人とは?

2022/01/06 起業失敗談

株式会社ジョブマネジメント 森谷 雅人 社長

【事業内容】

・社員研修企画、運営

・幹部、管理職研修企画、運営

・人材育成コンサルティング

起業で2,000万円の借金。自分がいかに甘かったかを反省した。

──これまでに失敗から勉強になった経験はありますか?

起業した経験ですね。

大学卒業後に不動産会社に勤めました。その時に人材育成のリーダーになったんですけど全然わからなかったんです。どうして辞めていくのかもどうしたらやる気になるのかなというのもわかりませんでした。僕も何のためにやっているかわからず、ただお金のためだけにやっている自分がいたのでモヤモヤしていました。

先輩が独立するタイミングでついていって、一緒に不動産を立ち上げました。

その時に今の僕の原点である「社員教育」に出会ったんです。セミナーや人の組織作りをやっている研修機関に行った時に「どうして人は辞めるのか」「どうしたら人はやる気になるのか」ということに対して強烈に気づきがあって学ぶことができました。

なので、その研修機関で修業したいと思い、東芝の役員を経験されて会社を10個ほど立ち上げている方のもとでそこから30年近く働かせてもらいました。

そのうちの1社であるビジネススクールに就職させてもらって「社員教育」を学んでいきました。そしたら、入社して1か月したときにいきなり「会社をつくれ」と言われたんです。

──いきなり!?(笑)なんでですか?

その師匠が言うには「経営側の気持ちを分からないと社員の教育なんてできない。ケツは拭いてやるから、経営者を経験しろ」と。

自分で事業をやりながら、研修やセミナーをやる時は講師のサブをやりながら人材育成について修行していきました。

起業してすぐに契約も取れ絶好調だった

──もともと起業したかったわけではないんですね?

そうですね。勉強の一環として起業しました。

ただ、起業する際にはそのビジネススクールのクライアントを使っていいし、社員も事業計画に賛同してくれた人がいたら連れて行っていい、事務所も間借りでいいということでした。人材やマーケットも一応ある状態でのスタートでした。

──どんな事業をやられたんですか?

今でいうインターンシップの事業でした。当時、企業は人が採れない時代でした。なので、大学3、4年生の頃からアルバイトしてもらってそのまま就職までもっていこうというパッケージを作りました。クライアントの企業はみんな社員教育をしている会社だったので人に困っていたり、社員を大切にする会社だったので、そこにプレゼンをしに行きました。

すぐに10件、20件と契約が取れて売り上げも上がったので、社員も増やして間借りしていた事務所も変えたりと。

──絶好調だったんですね!

僕はすぐに天狗になってしまう性分でして……。

ちょっと成績が良いと「俺はなんでもできる」と(笑)

事業を始めた頃はうまくいっていたんですが2、3年すると「人が余る」時代になってしまって売り手市場から買い手市場に転換していったんです。そうなると企業側もお金をかけなくても人材を採れるようになってきたので、契約が取れなくなっていきました。

契約が取れなくなると苛立ってきて社員に対して口調も強くなっていたんだと思います。

ある時、ひとりの社員が「新しい目標が見つかって勝負したいので会社を辞めます」と辞めていったんです。その後も徐々に「実家の跡を継ぐ」や「営業以外にもチャレンジしたい」といって人が辞めていきました。

──みんな前向きな理由で辞めていったんですね。

そうだったんです。正直、その時は「辞めてほしくない」という気持ちよりも、会社の売り上げも下がってきていたので「縮小できるからラッキーだな」と思っていました。でも、まだ社員は残っていたので借金して回してというのを繰り返していたら借金が2,000万円まで膨らんでしまって……

──2,000万円ですか!その後どうされたんですか?

起業しろと言った師匠のところに行きました。「会社を閉めます」と報告するのと「2,000万円を貸してくれないかな」と思って(笑)

──ケツは拭いてやるって言っていましたもんね(笑)辞めるといった時の師匠の反応はどんな感じだったんですか?

「会社を閉めて、けじめをつけてなんとかやっていこうと思います」と言ったら「じゃあ、何やんの?」と。

ケツは拭いてやるといったのにそういう反応だったので、僕も少しカチンときて、「サラリーマンでも何でもして借金を返しますよ」と言ったんです。

そしたら「ちょっとお金が無くなったから、社員がいなくなったから、もうその事業やめるんだ?そんな心づもりだったら一生リーダーにはなれないし会社も作れない」と言われたんです。

その後に「明日、借金2000万円をどこからいくら借りたかを紙に書いて持ってこい」と。そう言われたからもしかしたらその2000万円を貸してくれるのかと思ったんですけど……(笑)

次の日に持っていったら、借りたところに電話して借金を棚上げしてもらえと言われました。

──そんなことできるんですか?

頭を下げて誠心誠意で話したら伝わったんですね。結局、月々に10万円とか支払っていたのを5000円とか10,000円にしてもらえて整理がつきました。

その後に師匠から、「そういえば、実家を継ぐと言って辞めた社員はいま何をしていると思う?東京で仕事しているぞ」と辞めていった社員のことを僕よりも詳しく知っていたんです。

「人材育成をしたいと言っていたけど、お前は社員の気持ちを分かっていない。自分のことしか考えてないだろ」と言われて、その通りだったと思いました。そこで自分自身がいかに甘かったのかということを本当に学ばせてもらいました。

──その事業を辞めた後は何を?

師匠の会社で代理店のようなかたちでゼロから再スタートしました。そこで死に物狂いで働いて2年で借金を返しました。24時間仕事のことだけを考えて師匠から言われたことは絶対にやりましたね。

最後の借金を返しに行ったときに、そこの担当者から「保証人さんには連絡しておきます」と。でも、僕は保証人をつけた覚えがないんですよ。

──え、どういうことですか?

その師匠が保証人になってくれていたんです。それを聞いた時は涙がでました。

「人材育成というのは言葉ではなくて体験、経験しないとわからない。もしあの時に俺が2,000万円を貸していたらラッキーだったで終わるだろ。その借金を返すために必死でやってきたことはどこかで必ず活きるから忘れるな」と師匠に言われたんです。

僕は助けてもらうことを「ケツを拭く」だと思っていたんですけど、自分のことを自分で責任を持って処理が出来たり、前を向けるように成長させてあげることが「ケツを拭く」ということだと教わりました。そこまで人に対して心を入れないといけないんだなと。

その方がいなかったら今の僕はいないですね。

なので、それをやっていただけたというのはすごく有難いことですね。世の中は厳しいし、それを乗り越えろよと自分の甘さを直してもらいました。

──その経験をして実際にどういう風に変わったんですか?

そうですね。色んな事が襲ってきても、その時のことを考えたら大したことないなと感じますね。あとは、人に対しても接し方が薄っぺらかったのをもっと人に対して心を入れて相対しないといけないなと学びましたね。

──人に対して心を入れるとはどういうことですか?

一人ひとりちがう価値観を持っているので、その価値観をわかってあげるということですね。自分の思ったように人を動かすのではなくて、相手がしたいことを手助けしてあげられる人がリーダーだと思います。

相手に敬意をもって接しないことには相手のことを動かせないと。どうしてもリーダーや上司になっていく人たちは自分が思ったように動いてほしいと思ってしまうんですよね。相手の価値観を大切にすることというのが大事です。

──そんな素敵な師匠に出会えたのはすごくうらやましいです!誰かが助けてくれるだろうという甘えは私もあるなと少し反省しました。インタビューありがとうございました!

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